白玉粉にまみれるの記

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プラスチックの障子紙とアメリカンショートヘア猫、母のやさしさ

わたしの実家は山形の庄内地方にある。

 

盆の暑い日や、年の瀬の寒い時分、また5月のGWに、など。

わたしは比較的よく帰省している方らしい。

 

帰る時期が固定されているので、毎回食べるものも決まってくる。

夏は茹でた枝豆(だだちゃ豆)、茄子の味噌汁、豆腐(南禅寺)、ところてんなど。

春は笹巻き(あくまき?ともいう)、行列のできる花見団子、サクラマス

年の瀬は納豆汁とからがいの煮物。

 

帰省の楽しみは、実家の猫との邂逅。

せいぜい年に帰省するのは3〜4回。なのに

人見知りの激しい10歳のアメリカンショートヘア猫・はなこは私のことを確実に覚えていて、玄関に立つと真っ先に駆け寄って体を密着させてくる。

「この子もばかではねえのぅ」と母は毎度感心する。

 

実家は築100年以上のごくごく和な造りの家なので、

ほぼ障子張り。

はなこの「腹が減った」「もっと私を見ろ」などの要望アピール方法として、

「がりがり」と障子に爪を立てるというのがある。

その度に母は「こらはなこ!」と叱る。また張り替えなきゃ、とぼやくものだった。

 

ある日。

私は、仕事でリフォームの記事チェックをしていた。

その中で障子に関する記事があり、

「プラスチックの障子紙がおすすめ!」という記述を見つけた。この障子紙はプラスチックなので、猫が爪を立てても破けない。ペットがいる家に最適だと。

 

これは良いものを見つけた、と私は内心喜んだ。早速母に教えてあげよう、と

メールした。

 

「こういう商品があるようだけど知ってる?」

返事は割とすぐに来た。

 

「知ってます」

「良いかなと思ったけど、はなこが可哀想でやめたのよ」

 

ちょっと驚いた。

私は、障子をはなこにビリビリにされて、困っているものとばかり思っていたから。

 

障子紙が破けなくなれば母が楽になる、という発想しか頭になく、良いことを教えて上げられるとしか思ってなかったから。

 はなこの気持ちまで考えてなかったから。

 

そして、母にとっては 障子紙<はなこ なんだなとわかり

やっぱり私の母だなあ、としみじみ嬉しくなったりもしたのだった。

 

「やさしさ」って私の中ではこういう類のものだったりする。